- 採択企業
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株式会社カネニニシ
設立:1971年12月
代表者:代表取締役 西 雄生
本社:鹿児島県指宿市山川福元6635-1
資本金:2000万円
- 採択事業
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鰹節製造の自動化を実現した先進的・衛生的な工場へ向けたトータルシステムの構築
~生切り工程からの工程間搬送の自動化、ストック・管理と籠立て及び煮熟工程の完全自動化~鰹節業界はその専門性ゆえに、人手不足が慢性的な問題になっており、減員があっても生産高を確保するための技術導入が必要である。「生産性の向上」と「HACCP に沿った衛生管理」を兼ねそなえたモデル工場を実現するために、ロボットとAI を活用しシステムを構築して完全自動化ラインを構築する。
interview
導入の経緯
私たちは昭和初期から鰹節製造一本で、手作業で丁寧に作るという昔ながらの製法を続けてきました。鰹節製造は、生処理・煮熟・骨抜き・乾燥など、いろいろな工程を経て、時間をかけて生産されるものなんですけれど、そこにはたくさんの人手が必要です。ただ、働き手が少なくてどんどん高齢化していくというのが、まず大きな課題でした。
また、数ある工程の中で、「籠立て」という作業があります。これは、カツオを入れる籠を地面から高いところまで積んでいくんですが、作業する人たちが腰が痛いとか、顔にカツオの血がとんだりとか、すごく苦労している姿をずっと見ていたので、自動化できないかと考えました。もう1つ自動化したかったのが、「煮熟」という作業です。これは沸騰するような高温の中で、火傷したりとか怪我をするということがあるような作業内容なので、こちらも自動化したいと相談しました。ロボットだったらプログラムでいろいろな動作ができるというところに、魅力を、未来を感じました。
実施した内容
生処理から骨抜きの間の、籠立てとか煮熟の工程をロボットで自動化しています。その間の横持ち搬送ですとか、品質管理も含めて自動で管理できる完全に無人の工場になっております。接点があるセンサーは、錆びたり、血で固着すると使えなくなくなるので、原則近接センサーのみでいかに制御するかというのが、今回のポイントでした。
ロボット自体は2台使っていて、1台が籠立て用、もう1台が煮熟用のロボットです。
籠立てを人手でする場合は、まず空の籠を乗せて、その中に魚を入れる手順なのですが、ロボットは重さを感じないので、魚が詰まって重い状態になってから積み上げる方式に変えました。これにより、人手の作業というのは全部腰の高さになり、楽になっております。また、HACCPの食品衛生的な観点からも横持ち搬送するところは、地面からそれなりの高さで搬送することで、衛生面にも配慮しております。
煮熟に関しては、ICチップで魚の情報を管理しています。ICチップから、魚の大きさ、産地の船の情報、煮る時間などをロボットが確認して作業します。今まで職人さんが目で見て判断したり、時間で計っていたのですが、完全に魚の種類ごとに適切な時間をとって、煮終わったらロボットが自動で判断して出し入れできるような仕組みになっていますので、危険作業撤廃という面だけではなくて、品質管理の上でもロボットが役立っています。
結果と改善点
一期工事は、フィジビリティースタディー的な側面があったので、籠立ては籠立て、煮熟は煮熟で開発しました。(※一期工事は「令和2年度補正 食品製造イノベーション推進事業」対象事業)今回の二期工事では、そこの横持ち搬送を含めて自動化することで、人手がより付加価値の高い作業をできるように、危険作業から解放されるようにし、結果、工場全体として4.1%以上の生産性向上を達成することができました。
今後は、例えば、ここにこんなガイドがあったらいい、もう少し簡単に台車を入れられるとか、従業員さんに合わせて使い勝手をより良くできるよう改善していきたいです。
また、設備の制御的にも、もう一つこういうセンサーがあれば、より不具合率が減る、あるいは確実に制御できるなど、精度を上げるために継続的に改善を続けていきたいと考えています。
今後の展望
今回の自動化を、従業員の皆さんもすごく目を丸くして喜んでくれています。今後は、魚を切らしてみたり、骨抜きをさせてみたり、どんどんチャレンジして全て最終的にはラインで繋がっていけるようにしていきたいと思っています。
そして、若い人たちをつなぎとめたい、鰹節というこの伝統食品をそういう人たちと一緒に自ら作っていきたいと考えています。鰹節産業がすごく魅力がある産業に変わりましたと、そう働く人々みんなに思ってもらえるように、また興味を持ってもらえるような姿に生まれ変わった上で、全国の人、世界の人に、美味しい鰹節、本当の鰹節を仲間と届けられるように頑張っていきたいと思います。
株式会社カネニニシ
代表取締役 西 雄生さま
髙丸工業株式会社
専務取締役 髙丸 泰幸さま