後工程(梱包・検査・出荷ライン)の自動化
~協働ロボットとAI 技術の導入による高効率・省スペース生産の実現~

株式会社すかいらーくホールディングス

採択企業

株式会社すかいらーくホールディングス
設立:1962年4月
代表者:代表取締役会長 谷 真・代表取締役社長 金谷 実
本社:東京都武蔵野市西久保1-25-8
資本金:251億3400万円

採択事業

後工程(梱包・検査・出荷ライン)の自動化
~協働ロボットとAI 技術の導入による高効率・省スペース生産の実現~

冷凍ピザ製造における検査以降の後工程へ、AI技術とロボットを導入し、生産性と検査効率を上げる。セントラルキッチン内で実現できる省スペース化と省人化を進め、より安価で高品質な食品を社会に届ける。

interview

導入の経緯

我々が工場で食品を作る時には、標準作業という基準を決めています。人の作業で一個一個、丁寧にやっていく。ただ、どうしても今、人手不足等々ありまして、標準作業を確立できた部分について、できるだけ人の手を機械に置き換えるということを進めております。
そんな中で今回はピザラインの自動化です。元々もっといい品質、手作りに近いピザを作ろうということで、なかなか日本ではやったことがない仕組みの作り方の機械化を進めていました。ただしやはり30人近い人をはり付けないと作れないところがあって、その中で一個一個ここは機械にできるよねということをやっていて、最後残ったのが今回の対象である検査から梱包の工程。ここにAIやロボットを入れてみたいという想いがあって、今回スタートしました。

実施した内容

AIのカメラを用いて、まずシュリンク不良・印字不良・ソースのはみ出し不良といったものを検出するようにしました。不良品につきましてはエアーで吹き飛ばして良品だけを後工程に送り、ロボットが自動で段ボールに入れる仕組みを作りました。
人だと何となくうまくいくところも、やはり機械だと日によって若干違っていたりとか、特にAIについては、要件設定や学習の部分も含めて、なかなかつかみきれなくてシュリンク不良を検出するためのカメラ位置もいろいろ変えさせていただきました。現場で検証する前にも、100回ぐらいカメラ位置を変更させていただいて、「よーしこれだ」って持ち込んだんですが、全然検出できない・・・。光の当て方やカメラ位置の工夫を重ねて、現在の位置で安定してきました。
また、我々のようなセントラルキッチンに向く設備はそんなには世の中になくて、設計当初の段階からこのスペースにどうやって落とし込むかで一番苦労しましたが、正直言ってきれいに収まってくれたかなというのが一番の印象ですね。

結果と改善点

元々、ピザを検品する人、並べる人、運搬者2名の合計4名必要だった工程が2名になりました。生産性でいきますと、110%と大幅に効果を出させていただいております。
品質のために今回AIカメラも入れておりますので、一定の水準で、ただAIが全部見切れない部分は人も含めて、両方でタッグを組みながらやっていくということが必要かと思っています。それによって1円でも安く、品質がいいものが実現できるのではないかと思っています。
改善点としては、自動で段ボールに入る工程で、もともと箱のサイズと生地のサイズが若干合っていないというのがあります。生地玉なのでどうしてもサイズが一定になることはないのですが、もう少し電圧の方法などを工夫し、ある程度均一な生地を出すことによって精度を上げていきたいです。
また、今回AIによるシュリンク不良の検出を行っております。現段階では1ミリ程度であれば検出可能ですが、シュリンクフィルムなので細かい穴がすでに開いていたり、チーズが凍結しておりますので、刺さって穴が開いているように見える誤検出があります。実際に製品としたときに、1ミリ以下の穴が不良品となるのかを弊社の方で検証させていただき、1ミリ以下であれば問題なしとなりましたので、今度はシュリンクの包装の素材を変更し、直行率を上げていくといったところを、今取り組ませていただいております。

今後の展望

今回チャンスをいただいて、トライをさせていただきました。この設備自動化を含めて、今回トライしたものを今年しっかり育てていくということで、我々は改善活動を続けていきます。他社さんもいらっしゃる研究会に入っておりますので、さまざまな交流で知見を広げ、今後設備をさらに育てていくと同時に、弊社の他工場のメンバーも参加をし、自分たちも持ち帰って横展開をしていくということをやっていきたいと思っています。AIとロボットが弊社工場内で何ができて何ができないかを検証しながら、さらなる自動化・省人化を進めさせていただければと思っております。
そして、我々の目的である品質向上・原価低減に向けて。結果としてこの設備が入ったことによって原価が下がりお客様に還元できるということを目指しております。おかげさまで昨年10月にガストでピザを500円にするということができましたので、世の中にしっかり価値があって、値段も安いものを届けるために、しっかり改善を進めて設備そのものを育てていくということをやっていきたいと思っております。

株式会社すかいらーくホールディングス
生産本部 生産開発グループ ディレクター 飯田 中さま
生産本部 生産開発グループ 内製開発チーム 布留 弘一さま